眼科で視力検査を受けている時に
「はっきりしていなくても・ぼんやりでも良いのでどちらが切れているか教えてください」と
言われた経験はありませんか?
『そんなので視力値として取っていいの?』『勘みたいなモノなのに適当だなぁ』と思っている方もいると思います。
(実際に外来でそう言われることも多いです;;)
「ほとんど見えていないから言わないでおこう」という方も多くいますが、検査員としては
何となくでもいいのでお答えいただきたいのです。
その理由についてお伝えしたいと思います。
視力とは
では、そもそも視力とは何をもって視力というのでしょうか。
物体の形態覚を知るには4つの尺度に分類されます。
1つ目が最小視認閾(1点または1線を認める)、2つ目が最小分離閾(2点または2線を識別)、3つ目が最小可読閾(文字を判別できる)、4つ目が副尺視力(2線または3点が1線になる)です。
視力とはこの中の最小分離閾を指します。
ここからは少し難しいお話ですが…
辛うじて判別できる2点または2線が眼に対してなす角度を最小可視覚といい、この逆数を分で表します。さらにその逆数で視力を評価しています。
ややこしい話が挟まりましたが、つまり何が大事かというと2線の隙間が認識できればそれは視力として認められるということです。
ぼんやりだろうがはっきりだろうが、視力としては同じというわけです。
もちろん日常生活での見え方や文字を読むために必要な視力は別ですが、眼科の検査での視力検査は2線の隙間が分かれば認められるのです。
そのため検査時には「ぼんやりでも分かれば教えてください」と声掛けをしています。
「ほとんど見えていないから答えるのは辞めよう」はやめて
冒頭でもお話ししましたが、「ほとんど勘になっちゃうし」「はっきりは見えていないから答えない」と言う患者さんがいます。
『はっきり見えていないのに答えるように言われても……』『自分の結果だし別に悪く出てもいいじゃん』と思う気持ちもわかります。
ですが、前の項目で説明した通り”ぼんやりでも視力と認められる”ため早々に諦めてしまうと困ってしまうことが多々あります。管理人個人としては以下の2点をお伝えしたいです。
・本当は視力が出るのに視力不良として扱ってしまう
・受診のたびに諦める加減が異なり、毎回視力値が変わってしまう
1つずつ解説していきます。
①本当は視力が出るはずなのに、、、
0.4くらいで止まってしまう方に「ぼんやりでも良いですよ」と伝えると1.2まで見えることがあります。
ここまで極端ではなくても、何となくで良いと言うとかなり小さい視標まで見える方はとても多いです。
これの何が問題かというと、治療方針が変わってしまう・不要な治療を開始してしまう可能性があるということです。
現在何かしらの眼の病気を治療している場合は効果が出ていないと判断されてしまい、点眼や内服の変更に繋がることがあります。
ですが、変更後も視力検査のやり方が同じであれば改善がみられないとされ堂々巡りとなってしまう可能性があります。
次に、眼疾患を有していないのにも関わらず視力のみ不良の場合です。
他の検査では何も異常が見られないのに見えが悪い場合、多くの医師は原因を突き止めようとするでしょう。医療機関ですから当然です。
調べても調べても原因が分からない、、通院が長引き、それでも分からない結果大きい病院に紹介となることも考えられます。
②毎回結果が変わってしまう
”はっきり見えなくなってきたから答えるのは辞めよう”と想像してみてください。
毎回同じようなところで諦められると思いますか?
出されている視標が視力値いくつの大きさなのかは当然分からないですし、何個目で間違えようと決めたとしても出す順番が決まっているわけでもありません。
その日の気分や匙加減で見えないところを決めるよりも、毎回ギリギリ判別できるところを答えた方が結果ブレがないと思っていただけるかと思います。
※本当に見当が付かない場合は「見えません」と言っていただいて大丈夫です。
まとめ
今回は視力検査について解説しました。
- 視力検査は”ぼんやりでも切れ目が分かれば答えてOK”
- 正しい結果を得るためにも、何となく分かれば答えた方がいい
- 完全に勘になってしまう、全く見当が付かない場合は見えないと言って大丈夫